ハイドン:ヴァイオリン協奏曲 第1番 第1楽章(04「学コン」小学校・本選曲) 

久しぶりに nihonnnoneko 先生の投稿を引用します。

学生音楽コンクール課題曲 2004 / 7 / 3 1:55

《さて、小学校の部、本選にハイドンが出ました。従来のように「名手がこぞって録音」といった状態には程遠い曲目ですのでCDを聴き込んで纏め上げる方法は通用しません。

「子供らしく天真爛漫に」取り組んでも何とかなるモーツァルトとは違い、ハイドンはその当時の音楽文法を理解している聴衆に向けて、その理解の上に書かれたレトリックをどうぞお楽しみください、という趣きがありますから、ある程度の理屈がわかっていないと音楽にならないのです。

そのためハイドンは日本ではこれまで余り取り上げられずに来ましたが、欧米では子供の古典の勉強によく使われているのです。今年、ハイドンが出た意義を指導者はよく考えて見るべきです。》

(*Yahoo!掲示板>音楽>楽器>弦楽器>全般>子供を音大に入れたい親さんお話しませんか より引用)


欧米での演奏機会が多いこともあってか、実はCDは結構出ています。

クリスチャン・テツラフ

カトリーヌ・ショルツ

いずれもハイドンの3つのヴァイオリン協奏曲(第1番・3番・4番)を収録。現在のところ前者はHMVで2〜7日以内、後者は24時間以内の出荷予定です。

サルバドーレ・アッカルドの弾き振り、ハイドン:ヴァイオリン協奏曲/チェロ協奏曲(全曲)。輝かしい美音と、典雅で流麗な旋律の妙が楽しめます。HMVは24時間以内に出荷予定。

HMV5〜9日以内出荷予定ですが、イザベル・ファウスト。そして、レオニダス・カヴァコスの弾き振りというのもあります(これは第1番のみで、他にモーツァルトの交響曲第38番などを収録)。

イグラーユのお薦めは、DVD。サイドバー(VIVA! Recommend (DVDs))にすでに掲載中のギル・シャハムのイスラエル・フィルとのライブ共演盤です。ハイドン:ヴァイオリン協奏曲 第1番では指揮のダン・エッティンガーがチェンバロを弾き振りしています。

会場はイスラエル・テルアビブ。熟達の演奏者と、水準の高いオケと聴衆。それらが三位一体となって取り結んだ親密な関係性。上述 neko 先生のコメントにある「その理解の上に書かれたレトリックをどうぞお楽しみください、という趣き」を現代において実現している至福感が画面から伝わってきます。

さらにこのDVDは、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番(第3楽章が03「毎コン」小学校・本選曲)も収録。ギル・シャハムの冴え渡る技巧と歌心あふれるフレージング。スケール大きく、パワフルかつエレガントに感趣を操る自在さ。

そして、ほとばしる情熱は汗となって流れていきます。熱演の中、シャハムの額から頬、首筋を伝って流れる汗、銘器に滴り落ちる汗が、実にスリリングです。


ヴィエニャフスキ:協奏曲第2番(「毎コン」小学校の部90・01年本選曲) 

技巧的な冴えを示しつつ、感情の起伏をリリカルに歌いこめるかどうか。

格段の技量上の余裕がなければ音楽にならず、小学生のコンクール・ピースとしてはかなり手ごわい難曲と言っていいでしょう。

CDはエルマン、ハイフェッツ、スターン、イダ・ヘンデルなど数多く出ています。

ここでは1作だけご紹介。作曲家と同じポーランド出身の巨匠 シェリング版はシマノフスキ:協奏曲をカップリング。

この協奏曲、実演となるとほとんどがコンクールの場でピアノ伴奏。オケ共演のコンサートで聴ける機会は普段あまりありませんが、2007年新春コンサートのプログラムの中に1つ発見。「新日本フィル・ニューイヤーコンサート in 多摩」。「第13回ヴィエニャフスキ国際」第2位の鈴木愛理さんが第1楽章を演奏します。

さて、「毎コン」高校の部本選曲(01年)になったこともある第1番は第2番以上に超絶技巧がてんこ盛り。この第1番&2番のカップリングとなると比較的数が少ないようです。

明るく瑞々しい叙情が心地よいパールマン版と、揺るぎない技巧の発現で流麗に歌うギル・シャハム)版を挙げておきます。

ヴュータン:協奏曲第2番(「毎コン」小学校の部88年本選曲)・第4番(同じく99年本選曲) 

ヴュータンの4番は、 グリュミオー ハイフェッツなどいくつか録音が見つかりますが、2番は少ないようです。

ナクソス・レーベルはヴュータンの7つの協奏曲をすべてCD化しており重宝します。

Vieuxtemps: Violin Concertos Nos. 1 and 4 / Henri Vieuxtemps

Vieuxtemps: Violin Concertos Nos. 2 and 3 / Henri Vieuxtemps

Vieuxtemps: Violin Concertos Nos. 5, 6 & 7 / Henri Vieuxtemps

どの曲も美しく、独奏のテクニカルな表出をこれ見よがしにすることなく、オーケストレーションとの幸福な調和の内に、ヴァイオリンが朗々と艶やかに、みずみずしくも輝きに満ちた千変万化の芳醇な音色を紡いでいきます。

さらに「毎コン」本選曲を一気に入手できる魅力的な録音を発見。2・4番と中学校の部の本選曲(88・03年)の5番を組み合わせた、ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲第2番&4番&5番 / マルコフ(アレクサンドル)

ちなみにマルコフについては、すでにヴァイオリン・ウェブでも紹介されていましたが、パガニーニ:24の奇想曲のDVDが9月6日に発売されます。

ラロ:スペイン交響曲(「毎コン」小学校の部97・00・06年本選曲) 

「毎コン」小学校の部本選曲の過去20年を見ると、モーツァルト(協奏曲4番2回、3・5番各1回)、ラロ(スペイン交響曲3回)、ブルッフ(協奏曲1番2回)、ベリオ(バレエの情景2回、協奏曲7番1回)、ヴュータン(協奏曲2番1回、4番1回、ファンタジア・アパッショナータ1回)で、全体の75%を占めています。

今年第60回大会の本選曲、ラロ:スペイン交響曲の録音は非常にたくさん出ています。

ここではスペイン交響曲と「毎コン」の他の本選曲(中学校・高校の部を含む)との組み合わせを考慮。つまり、コンクール・ピースのCDをできるだけ無駄なく、低コストで集めるという視点を重視して選んでみました。

ブルッフ&ラロ&ヴュータン:VN協奏曲集/ ズーカーマン(ピンカス)

若き日のズーカーマンの輝きとみずみずしさ全開の1枚。スペイン交響曲に、ブルッフ:協奏曲1番、ヴュータン:協奏曲第5番(1楽章が「毎コン」中学校の部97・03年本選曲)の組み合わせで、1020円。


Lalo: Symphonie espagnole; Saint-Saens: Violin Concerto No. 3; Chausson: Poeme / Ernest Chausson、 他

ジョシュア・ベルの2枚組。スペイン交響曲、サンサーンス:協奏曲第3番(1楽章が「毎コン」中学校の部01年本選曲)、サンサーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ(「毎コン」高校の部97年本選曲)、サンサーンス(イザイ編):ワルツ形式の練習曲によるカプリース(「毎コン」高校の部05年本選曲)、ラヴェル:ツィガーヌ(「毎コン」高校の部00年本選曲)などが一杯つまって、2421円です。

ヴィオッティ:協奏曲第22番(「毎コン」小学校の部95年本選曲) 

甘く美しい旋律のヴィオッティ22番は、コンクールピースである以上に、鑑賞用としての魅力に富んだ名曲です。

先にご紹介した「子供時代の思い出〜」の他にも録音は比較的多く見つかります。

まず、グリュミオー。端正にそして豊かに歌う美音の持ち味が十二分に発揮されたヴィオッティ:VN協奏曲第22 / グリュミオー(アルテュール)は、ハイドンの協奏曲とのカップリングです。

そして、23番(「白本」第5巻所収)とのカップリングは、ヴィオッティ:ヴァイオリン協奏 / ボベスコ(ローラ)

音程の面でやや気になるところがありますが、ボベスコの独特の節回しと音色が楽しめます。

その他にも、次のような録音があります。カップリングされている曲を考慮して選ばれると良いでしょう。

パガニーニ&ヴィオッティ名演集 / アッカルド(サルヴァトーレ)

Gioconda de Vito plays Beethoven, Bach & Viotti / Johann Sebastian Bach、 他

Elizabeth Wallfisch Plays Myslivecek, Viotti, Schubert, Spohr / Josef Myslivecek、 他

ベリオ:バレエの情景(「毎コン」小学校の部05・92年本選曲) 

すでに何度も取り上げているベリオ:バレエの情景。

「学生協奏曲集」と「子供時代の思い出」の他には、ダニエル・ゲーデのThe 'Tube Only' Violin に収録されています。

HMVは、SACD盤の他にも、通常のCD盤の在庫があり、7〜10日以内で発送となっています。

これも以前にご紹介した昨年の第59回「毎コン」東京大会のヴァイオリン部門1位〜3位(小学校の部は奨励賞まで)入賞者のライブ録音盤CDと合わせて聞けば、この曲のコンクールピースとしての完成レベルを解き明かしていくことができるでしょう。

以上の4つのCDに含まれたこの曲を仔細に聞いていると、「毎コン」入賞者の方の何人かの演奏の中に、「パールマン的なもの」、「ゲーデ的なもの」が感じられる部分がほの見えることがあり、なかなかに興味深いものがあります。

ベリオ:協奏曲第7番(「毎コン」小学校の部94年本選曲) 

ベリオの協奏曲第7番ト長調 op.76は、以前にご紹介した「第1回“小さな魔法のヴァイオリン”国際コンクール」のファイナルの課題曲にも挙がっていました。

残念ながら前回ご紹介した西崎崇子氏のCDはベリオの1・8・9番が収録されているのみです。

Violin Concertos for Children vol.2が唯一の録音盤だろうか。と思いきや、歴史的資料としての意味合いが強いかもしれませんが、アメリカの女流ヴァイオリニスト、モード・パウエルの1900年初頭の録音がCD化されていました。

なにしろ電気マイクロフォンがまだない時代のアナログ録音であり、奏法などの古さもあります。ある程度覚悟して聞く必要がありますが、劣化した音質、こもった響きの中からも、パウエルのほとばしる熱情をたたえた力強く勢いのある演奏を聞き取ることができます。

ナクソス・ヒストリカル・シリーズからモード・パウエルの完全録音盤が出ていますが、ここでは、他の巨匠たちの演奏も集めたオムニバスの2枚組廉価版The Great Violinists をお薦めします。

パウエルのベリオ7番以外に、クライスラーのブルッフ、エルマンのヴィエニヤフスキ2番など、名だたる歴史的巨人たちによるコンクールピースの演奏も楽しめます。

コンクール対策の参考にはならないかもしれませんが、クライスラーによるブルッフのエレガントな気品の表出、エルマン・トーンにより紡ぎ出されるヴィエニヤフスキの耽美的な抒情は、録音状態の問題を差し引いても、胸に迫るものがあります。

フランスのエスプリの華、ティボー、ドイツの謹厳たる質感のブッシュ、そしてミルシテインやメニューインの至芸も収録された豪華版です。

HMVはこちら

ベリオ:協奏曲第9番(「毎コン」小学校の部97・02年予選曲) 

「毎コン」小学校の部をはじめとする様々なコンクールの課題曲として、また発表会・おさらい会などの演目としても採用頻度の高いベリオの9番ですが、CDはほとんど見当たりません。

「学生協奏曲集」の他には、西崎崇子氏によるオケとの共演の本作くらいでしょうか。1番と8番も収録されています。

Charles Auguste de Beriot: Violin Concertos Nos. 1, 8, 9

上記Amazonのサイトは在庫切れ。ただし、一応試聴ができます。

9番1楽章の前奏から、西崎氏のソロ導入部分。勢いと張りのある力強くも美しい歌い出しは、おけいこピースとして採用されることが多いこの曲の本質的な姿を、一瞬にして鮮やかに提示してくれます。

HMVは在庫があるようです。

ついでにベリオ9番と言えば、CDではありませんが、以前にもご紹介したザハール・ブロン教授のレッスンDVDがありますね。

HMVはこちら