「伴奏ピアニストは見た!」(14)−ライバル関係 

「たかし君」に続く、先生関連のお題、第2弾。心せよ、伴奏ピアニスト! こんなの書いたら、仕事が減るぞ。)

伴奏ピアニストは思いついた。


語呂合わせで綴る、あなたと私はライバル関係。


真央には、ヨナ。


魔王には、番頭はん。


浜雄には、ミリアム。(1968年1971年


ハリマオには、キャプテン(牧冬吉=「仮面の忍者赤影」の白影)


*この語呂合わせは、以下の取り扱い上の注意をよく読んでお楽しみ下さい。

(1)門下の方へ。呼び捨ては、語呂合わせ上の必要によるもので、一切他意はありません。先生に告げ口しないようお願い致します。

(2)もしかしてご覧になっている先生へ。「申し訳ございません、先生。これは単なる語呂合わせです。」

(3)門下ではない方へ。「魔王のモデルを見つけたり!」等と的外れに騒いではいけません。韻を踏んでいるだけです。魔王は実在の人物とは一切関係がありません。

(4)何のことだか、よくわからない方へ。わかる必要はありません。

「伴奏ピアニストは見た!」(13)−いかに音楽的にまとめるか 


伴奏ピアニストはしつこく連想する。(マニアックな性格なのだ。)


演奏中は、どのタイミングで行うのか。

ブレスで息を吸った後に奏する第1音と同時、というのはどうだろうか。空気を吸って「吐く」要領である。合わせやすいし、演奏の推進力になりそうだ。ヴァイオリンの音とユニゾンになるから、音の長さと音程には注意しなければならない。腸が詰まり気味の場合は、音程が高くなる。

ブレス以外の箇所でのそれは難しい。どの部分にそれを入れるか、音楽性が問われることになる。のみならず、高度なテクニックも要求される。演奏に集中しながら、別の神経系で筋肉の弛緩をコントロールしなければならないからだ。

見事に決まれば、演奏が上手く行った時以上の充実感にひたれるだろう。

そのことに注意を払い過ぎたお陰で、演奏の面では逆に無心を貫く事ができ、見事に入賞出来た例があるかどうかは定かではない。

「伴奏ピアニストは見た!」(12)−「演奏その後に」をスプレーしました 


伴奏ピアニストは嗅いだ。


さて、舞台に登場。次に「こき」やすいのは、お辞儀をした直後である。一瞬、筋肉の弛緩があるからだろうか。原因は不明である。

演奏中は「こい」ても、それなりの音量がないと聞こえない。

私は残念ながら、伴奏中にその音を聞いたことがない。

しかしながら一度だけ匂いは感知したことがある。

もちろんそれが演奏者のものだったかどうか定かではない。私のものだったのかも知れないし、舞台袖に控えていた次のコンテスタントによる早すぎる「最高HEY!」だったのかも知れない。あるいは、澄まし顔の係員の所業の可能性とて全く否定はできない。

ちなみにその時の曲は、ブルッフ:スコットランド幻想曲。

ルーラルな曲想とマッチして、日本のいにしえの田園風景を想起させる「こく」のある香りが、舞台一面に濃密に立ちこめたのを懐かしく思い出す。

「伴奏ピアニストは見た!」(11)−「こく」のある話 


伴奏ピアニストは聞いた。


前回、船を「漕ぐ」話をしたが、今回は「こく」話。

舞台とは、思わず力の入る所だから、「こく」ことは稀にあり得る。

さあ、出番。ぐっと深呼吸をして、気持ちを落ち着かせて、舞台袖からステージへ、いざ出陣という時に、ドンピシャのタイミングで「ブッ!」

これを伴奏ピアニスト業界では、「最後っ屁」ならぬ「最高HEY!」と称し、縁起の良い神のお告げと解釈している。

「最高HEY!」を「ふる」と、ミューズが「ふる」。つまり降臨するらしいとの噂だ。

「最高HEY!」を「ふった」コンテスタントのコンクール入賞率が90%以上というデータが存在するかどうかは知らない。

「チョイこく好き香臭いコンクール」などと、不遜な語呂合わせで遊んでいる場合ではない。

「弦楽器」だから「験かつぎ」だと、あるコンテスタントが舞台袖で無理矢理お尻に力を入れ過ぎた余り、「空気」ばかりか「実」まで出たという話が実話かどうかは知らない。

「実」が出て、膨らんで、花が咲いて、入賞だ、ということは恐らくありえないと思われるので、無理な験かつぎにはくれぐれも御注意のほどを。

「伴奏ピアニストは見た!」(10)−ロウ、ロウ、ロウ、ユア、ぼおっと 


伴奏ピアニストは告白する。


前々回、演奏中に「伴奏ピアニスト」が船を漕ぐことはあり得ないと断言したが・・・

誰あろう私は、一度だけ船を漕いだことがある。本番の舞台で。


それは、ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲第5番第1楽章の伴奏中のこと。

あまりにも心地良い、まどろみを誘う至福の時が訪れた。


そう、罪作りな汝の名は、美しき「カデンツァ」。

思わずエアポケットに陥ってしまった。演奏が良かったものだから、つい。


ただし漕いだのは、ほんの数秒。ジュリーや聴衆は恐らく気づいてはいない。

もちろん「カデンツァ」後の終楽章は、しゃきっと弾いて決めたわよ。プロだもの。

「伴奏ピアニストは見た!」(9)−蓋の開け閉め、あとは座っているだけ 

伴奏ピアニストは思いついた。


前回、演奏中に「コンテスタント」が船を漕ぐことはありえないと断言したが。

例えば「ジョン・ケージ国際音楽コンクール」というものが開催されるとして、課題曲がこれなら、船を漕げるだろう。

ジョン・ケージ:4分33秒

「寝息」も「いびき」もケージが想定した「偶然性の音楽」のひとつ。

あるいは、何をしてもいいということなら、

ジョン・ケージ:0分00秒


「伴奏ピアニストは見た!」(8)−あなたも見られています 

伴奏ピアニストは見た。


委員会や本会議で、閣僚や議員が居眠り。その様子を捉えるテレビカメラ。全国に放映される、天下泰平の健やかな寝顔。

船を漕ぐ先導(リーダー)さん達。

税金もらって居眠りできる「おいしい国」日本。


もし仮にコンクール会場における演奏中、船を漕いでしまった場合、最も目立つと思われる人ベスト3。

(1)「コンテスタント」

(2)「伴奏ピアニスト」

確かに最も目立つが、これらはまずあり得ない。

この「危険なふたり」を除くと、現実に最もあり得るのは、一体誰か?

それは・・・


(3)「ジュリー」


沢田研二では、もちろんない。


「伴奏ピアニストは見た!」(7)−“勤め帰りのお父さん”その5 

伴奏ピアニストは見た!


平日開催のコンクール。夕方、勤め帰りに、我が子の演奏を聴きに来たビジネス・スーツ姿のオヤジ。

我が子の演奏の途中で客席に入って来た。


−中略−


ピタ。


両方の手のひらが衝突する寸前に、止めた。

周りが無音ゆえ、止めた。


−中略−


そっと、合掌ポーズを解いて

左右の手のひらを、自分の方に向けて

じっと

哀しそうに、それを

見ていた

アナタ。


−働けど、働けど、わが暮らし、楽にならざり


−生えたけど、生えたけど、わざとらし、らしくならざり


じっと

頭皮をつかむ。


拍手も

髪の毛も

わざとらしいのが、嫌いな

父の悲哀。